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有機スズ化合物汚染で貝が両生化


環境中のスズは、有機スズ化合物として強い毒性を発揮します。
殺虫剤や除草剤、木材処理剤として広く使用されてきた他、海洋産業の中で魚網や船底の付着生物防汚塗料として急速に拡大しましたが、そのことはまさに有機スズが強い殺生物剤であることを示しています。
有機スズイオンはたんぱく質中のシステイン、ヒスチジンと結合して細胞の形態や機能に異常を引き起こします。

 

■有機スズとは



有機スズ化合物は、昭和25年頃から製造され、各種の水生生物の付着を効果的に防止するために船底塗料や防汚剤の殺生物剤として昭和40年代からその使用が増加してきました。
有機スズの主な用途としては、

船底の防汚(貝殻や藻の付着防止)用塗料中で の TBT の使用
農薬としての TPT の使用
ポリマーの安定剤としてのブチルスズ及びオク チルスズ化合物の使用

大きく分けると以上の3つになります。

有機スズであるトリブチルスズ(TBT)(*1)は、トリフェニルスズ(TPT)(*2)とともに、船底塗料や漁網の防汚剤として用いられていました。

TBTやTPTは、船体に付着して船の速度を低下させるフジツボやカキ殻を殺す毒薬です。
この有機スズによって、世界全体での船舶の運航に必要な燃料費と船体クリーニング費用は約8000億円も節約されたといわれ、アメリカ海軍もトリブチルスズを絶賛していました。

しかし、1970年代の終りから1980年代のはじめにかけて、ヨーロッパで貝類やカキの養殖に悪影響を及ぼすことが判明。80年代から欧米で規制が進み、日本でも1990年1月、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)で、TBTの一種TBTO(トリブチルスズオキシド)が第一種特定化学物質に指定され、製造輸入が原則として禁止となりました。
TBTOを除くTBT13種(90.9)、TPT7種(90.1)は第二種特定化学物質に指定され、製造、輸入に事前の届け出が必要となっています。

(*1)トリブチルスズ(TBT):
有機スズ化合物の一つ。    

(*2)トリフェニルスズ(TPT) :
汚れ防止のため船底塗料に使われていたが、毒性があり魚類や水質などの環境汚染がいわれている有機スズ化合物の一つ。

 

■有機スズによる健康障害


動物実験では、体重増加が抑えられたり、貧血などにつながる慢性毒性が確認され、昭和57年から水産庁や環境庁などが行った調査から、広い範囲にわたる海洋汚染などが明らかになり、人間の健康も害する恐れがあるために問題になりました。

そこで平成元年12月、通商産業省と厚生省はそれぞれ「化学品審議会安全対策部会」と「生活環境審議会生活環境部会」を開き、製造・輸入や使用の禁止などを行いました。TBTによる人の中毒症状としては、体重減少や食欲不振、貧血、肝障害、消化管・腎臓の出血などがみられるとの報告があります。


過剰蓄積による
健康障害

神経伝達障害、免疫不全、たんぱく質合成阻害、酵素活性阻害、痙攣、精子の減少、代謝障害

主な摂取源
魚介類、海藻類、殺虫剤、除草剤、歯科装填物(アマルガム)

 

 

 

 

■貝を蝕む環境ホルモン−有機スズ


TBTがわずかに海水中に存在するだけで、巻貝のイボニシのメスをオス化する“インポセックス”などの現象が起きています。また、日本の近海でとれるマグロやカツオ類の体内に、有害物質の有機スズ化合物(TPT)が高濃度で蓄積していたり、スルメイカも感興ホルモンを体内に含んでいるといわれています。

有機スズ化合物の一部が、食物連鎖により魚介類の体内で数十倍に濃縮されていることが調査で分かったとされています。(2003.8.31 朝日新聞ニュース速報)これは、船底塗料などに使われていた同物質に、ダイオキシンなどの残留性有機汚染物質(POPS)に似た生態系での濃縮作用があることを意味しており、汚染の広がりなどが心配されます。調査の結果、有機スズ化合物のほとんどが海底の泥にたまることが判明。海底の有機物を食べるエビで9.3〜19倍に、そのエビを捕食するカレイやカニ類などで1.1〜3.7倍に濃度が上がるなど、2〜3段階の食物連鎖で数十倍の濃縮が起こっていたとの報告がされています。

 

 

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